GNSS TimeSync 2025 2025/10/22(水)PM 開催


お知らせ:
2025/10/23 参加方法を記載したメールが届かなかったという連絡を数件いただいております。これにより参加ができなかった方は、bsd-seminar@iij.ad.jp までメールいただけますでしょうか。資料及びアーカイブへのアクセス方法をお伝えします。
2025/10/22 開催しました!来場104名、オンライン参加154名となり、大変盛況な会となりました。お礼を申し上げます。

場所:インターネットイニシアティブ本社(東京・飯田橋)+オンライン
聴講:事前登録必要・無料
対象:分野を問わず時刻同期に関心がある方

GNSS TimeSync 2025は、GNSSによる時刻同期をテーマとし、業界の動向やレジリエントな受信システム、今後の展望について一望できる、日本初の「GNSS時刻同期に特化した技術セミナー」です。業界の第一人者が、分野を横断しGNSS時刻同期の現在と将来を解説します。

【背景】近年GNSSはNTP, PTPの普及と相まって、時刻同期のための源信号として幅広く用いられるようになりました。理論上地球のどこにいても安定した時刻が得られる一方で、受信システムの構築には電波、アンテナ、同軸ケーブルやノイズ対策といった高周波技術の理解が求められます。特にIT分野の技術者に対し、こうした技術を一括して伝える必要性が増大しています。また最近話題となるジャミング・スプーフィングについても「正しく怖れる」ためには正しい情報による理解が必要です。

【ねらい】NTP, PTPなど時刻同期プロトコルに接する技術者に、その前段となるGNSSにまつわる最新の技術動向を伝えます。第一線のメーカや研究機関の技術者・研究者が講演します。放送・通信・金融を含め、時刻同期技術に関心のある方全てが対象となります。

【イベント開催にあたり】この技術の普及・促進に関心のある企業有志が企画し、セミナーおよび展示ブースという形で主催・共催します。セミナーはアカデミックな話題を中心とし、ブースは各企業のPRをおこないます。セミナー、展示ブースともに無料で参加できます(要事前登録)。

【参加受付】
https://gnss2025.vidmeet.tv/ にて9月上旬より受付開始予定です。
会場参加、オンライン参加、アーカイブビデオ視聴いずれも事前登録が必要になります。
事前登録がない方はいずれの参加・視聴もいただけません。必ず事前の登録をお願いいたします。

プログラム

13:30-14:00

展示会

【出展企業】
株式会社インターネットイニシアティブ
株式会社精工技研
セイコーソリューションズ株式会社
古野電気株式会社
丸文株式会社
Calnex Solutions plc
株式会社IIJエンジニアリング

セミナー会場内にて、主催・共催企業によるブース展示の時間となります。ご自由に見学・質問等ができます。

14:00-14:20

社会インフラを変えるPTPと時刻同期の進化

セイコーソリューションズ株式会社 戦略ネットワーク本部 戦略ネットワーク営業統括部 タイミングソリューション営業部長
鈴木 康平

高精度な時刻同期技術は、もはや限られた分野の専用技術ではなく、社会インフラ全体を支える基盤技術となりつつあります。特に5Gネットワークにおいては、4GLTE時代と異なり基地局間の正確な同期が必須となり、PTPをはじめとするプロトコルがネットワーク機器に広く実装されています。その結果、ルーターやスイッチにおいても低遅延かつ高精度な同期が可能となり、産業全体に新たな価値をもたらしています。
本セッションでは、通信事業者、製造業、金融、そしてAI基盤に至るまで、産業ごとの活用事例を紹介しながら、時刻同期の現状と課題、そして今後の展望についてお話しします。

14:20-15:00

GNSSによる高精度時刻同期とその脆弱性対策

古野電気株式会社 システム機器事業部 開発部 主任技師
橋本 邦彦

GNSSは、誰でもどこでも無料で利用できる高精度な時刻同期手段として、通信・放送・金融・電力など多くの分野で活用されています。しかし、マルチパスや電離層などの環境依存性、GNSSセグメントのエラー、他の無線からの干渉などの脆弱性を内包しています。特に近年は、ジャミング・スプーフィングといわれる意図的なRF干渉による攻撃が深刻化しています。
本講演では、GNSSによる高精度時刻同期の基本的な原理を解説し、GNSSの脆弱性とその対策を整理します。
また、ノルウェーで開催されたジャマーテストで実施した実験結果について紹介し、信頼性の高い時刻アーキテクチャを構築するために求められるGNSS受信機の機能・性能を議論します。

15:00-15:30

試みてわかる。GNSS受信システム構築の課題とその対策

株式会社精工技研 機器事業部
藤浪 圭

GNSSによる時刻同期はいま、止まること・乱れることを許されない社会システムの心臓を担っており、世界が新たな価値を創造するために必要な社会インフラの一つとなっております。しかしながら、いざ実際にGNSS受信システム構築を試み、GNSSアンテナを建ててみると、意外なつまずきや運用上の不安に苛まれることもあるものです。
本講演では、実現場で生まれる様々な課題に対し、GNSSアンテナから受信機までをいかにスマートに構築するかについて、GNSSの電波をファイバで伝送する手法も踏まえお話しします。

15:30-15:50

休憩&展示会

セミナー会場内にて、主催・共催企業によるブース展示の時間となります。ご自由に見学・質問等ができます。

15:50-16:30

7機体制を迎える準天頂衛星システムみちびき-時刻を提供する社会インフラとしての役割

内閣府 宇宙開発戦略推進事務局 参事官/準天頂衛星システム戦略室長
三上 建治

「みちびき」は日本が開発し運用する地域版の衛星測位システム(Regional GNSS)です。2018年から運用を開始し現在、5機体制です。衛星測位システムにより、多くの人々が、スマートフォンやカーナビといったモバイル機器を用いて自己の位置や最適な行路を得ることができています。今やドローンや物流を始め多くのサービス業で高精度な位置情報なしのオペレーションは考えられない時代になっています。一方で、正確な時刻情報が衛星測位システムから提供され利活用されていること、すなわち、精密な時刻が日々の放送や通信、金融や電力システムといった重要インフラや広域ネットワークの同期として我が国の社会・経済を陰で支えていること、についてはあまり知られておらず、たいへん残念に思います。
みちびきは2026年から7機のフル体制となります。GPS等他国の衛星測位システムの機能が失われてもみちびきのみで衛星測位サービスが可能となる節目の年を迎えます。日本独自のシステムであるみちびきが、産業・社会を支えるPNTをどのように提供していくのか、システムや機能の全容をご紹介します。特に、昨今懸念が高まるスプーフィング(偽信号、なりすまし)の対策を施した信号認証サービス等の紹介も行います。

16:30-17:10

高精度時刻配信の現状と国際動向、NICTの取り組み

国立研究開発法人 情報通信研究機構 電磁波研究所 電磁波標準研究センター 時空標準研究室 室長
井戸 哲也

現代の重要インフラは高精度な時刻同期に依存し、多くがGNSSを利用していますが、太陽フレアや妨害、なりすましといった脆弱性が課題です。NICTはGNSS非依存かつUTCにトレーサブルな高精度時刻配信を目指し、光ファイバーとPTP(ホワイトラビット含む)による都心部・地方拠点への配信実証を進めています。
英国National Timing Centreの事例など海外動向も踏まえ、金融市場規制への対応や持続可能な配信体制構築を視野に、今後の方向性と連携の可能性を議論します。

17:10-17:15

QA、クロージング・インフォメーション

17:15-18:00

展示会

セミナー会場内にて、主催・共催企業によるブース展示の時間となります。ご自由に見学・質問等ができます。